
――そんな中、投資はいま始めても大丈夫か。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
長期投資であれば大丈夫である。老後まで何十年もある場合、資産形成に焦る必要はない。昨年2024年の「令和のブラックマンデー」では日経平均が3万1500円まで下がったが、現在は3万6000円と5000円以上高い水準にある。長い目で見れば、株価は下がっても戻り、高値を更新してきた。リーマン・ショックでは半値に下がったが、5~6年で回復し、現在は12年で、4倍。近い将来に資金を使う必要がある人は怖いが、10年後、20年後に使う人は怖がる必要はない。一喜一憂するのは良いが、投資行動は一喜一憂しなくてよい。
――新年度に投資を始める人へのアドバイスは?
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
長期投資を徹底すること。短期売買で儲けるのは難しく、乱高下があっても10年、20年かけて少しずつ投資し、大きな流れに乗ることが重要である。トランプ政策で来年の中間選挙までは、変動が激しい状況が続くが、長期投資家には安く買うチャンスが増える。エヌビディアやテスラが下がれば買い時が来る可能性もある。短期で結果を出す必要がない個人投資家は、売買を急ぐ必要はない。

――最後に投資のプロから相場の格言。「重機相場は悲観の中に生まれ、懐疑とともに育ち、楽観の中で成熟し、幸福感とともに消えていく」
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
有名な投資家、ジョン・テンプルトンの名言であり、AIバブルに当てはめると分かりやすい。AIは当初未知のものであったが、エヌビディアの業績向上やチャットGPTの普及で育ち、「儲かった」など、幸福感に至った。現在は「幸福感」が、消えかけているが、FRBの利下げなどで再び盛り上がる可能性もある。今はハイテクバブルは「楽観の中で成熟し」「幸福と共に消えてゆく」の間なのかもしれない。