一方、別の戦略で臨むのが、金沢市尾張町で2022年に開業した、「ザ・ホテル山楽金沢」です。

ザ・ホテル山楽金沢・北谷公人総支配人
「オープン直後の稼働率は、20%前後。だいたい採算が取れる分岐点って「60%」位を想定するんですけど。1年は苦労しましたね」


このホテルでは、宿泊客のターゲットで差別化を図っています。そこでいち早く目をつけたのが、「インバウンド市場」のポテンシャルの高さ。

外国人観光客が日本らしさを感じられる優美な滝が流れる中庭に、広々とした客室。外国語が堪能なスタッフが常駐し、北陸三県や白川郷など広域観光を見据えた案内などを行う「コンシェルジュサービス」、さらには、地酒やスイーツを楽しめるラウンジも備えます。今シーズンの外国人観光客の利用は、去年の同じ時期から倍増しているということです。


ザ・ホテル山楽金沢・北谷公人総支配人
「(インバウンド客の比率は)秋口ですと、45%くらい。1月・2月はオフシーズンになるので3割位なんですけど。去年、それ以前に比べると倍増ですから。このまま行くと、年内にはもしかしたら国内の客を抜いて、半数以上になるのかなと」


去年9月には、金沢市兼六元町で築50年を超えるビルをリノベーションした「HOTEL AO KANAZAWA」がオープンしました。さらに…

前川由萌記者リポート
「北陸随一の繁華街、片町スクランブル交差点。この場所から歩いて50メートルほど先に、13階建てホテルの建設が計画されている」

ホテル開発の動きは、これまでの金沢駅周辺、そして南町界隈から、徐々にエリアも広がりを見せています。


金沢開業から10年。ホテルの競争が激しさを増す中、業態を超えた新たな事業への参入やインバウンドに特化したサービスの展開、さらにこれまでと異なるエリアへの進出。あの手この手の戦略で観光客の取り込みを図る宿泊業界は、今後、どのような青写真を描くのでしょうか?専門家は…。


エステック不動産投資顧問・武部勝社長
「インバウンド客を取り込めたとしたら金沢はまだ伸びしろがある。金沢はホテルの数は増えているが、その範囲というのはあくまで『ビジネス客』をターゲットにしている。これからは滞在型とか、ラグジュアリーホテルもまだまだ進出が期待できるかと」