北陸新幹線の金沢開業から3月14日で10年を迎えました。

観光客の増加を背景に県都・金沢で巻き起こった「お宿バブル」はその後、どう変遷を遂げたのでしょうか。新型コロナに、能登半島地震。開業以降、市場の変化に翻弄されたホテル業界の現状と、未来を見つめます。


金沢ホテル懇話会・庄田正一会長(2014年取材当時)
「新幹線が入ってくれば、先客万来は間違いない」

元旅行会社勤務・森川和重氏(2015年取材当時)
「業界としては何十年に一度、何百年に一度という感覚」

山野之義前市長(2016年取材当時)
「都市のグレードをしっかりと高めていきたい」

2015年の北陸新幹線・金沢開業。これに先行する形で熱を帯びていたのが、金沢市中心部のホテル開発です。


開業前の3年間で、8軒のホテルや旅館が新たに開業。さらに2015年3月の新幹線開業から3年の間に15軒が開業するなど、じわじわとその数は増え続けました。市内の不動産投資に詳しい専門家は、当時の活況ぶりをこう分析します。

エステック不動産投資顧問・武部勝社長
「新幹線開業約3年前からは『第一波』。同じ料金体系のホテルチェーンが相次いで将来性を見越して進出されたというのが、開業の半年前まで。そして、開業から半年経って『第二波』となった。これは、第一波に来ると思っていたホテル業者が様子見で保留してたのが、予想をはるかに上回る盛況さとなり、そこから少し慌てているというか、進出を急ぐ感じがしましたよね」


特に進出が顕著だったのが、金沢の玄関口・金沢駅周辺。そして、繁華街・片町へと繋がる金沢市南町周辺の、いわゆる「都心軸」と呼ばれる2つのエリアです。かつては金融機関や大手企業の支店が集まるビジネス街だった南町界隈は、金沢駅西口へのオフィス移転などを背景に、開業以降は瞬く間に「ホテル激戦区」へと姿を変えました。


エステック不動産投資顧問・武部勝社長
「(当時は)とにかく良い場所があったら情報下さい、多少金額についても相談乗らせて下さい、という感じ。とにかくホテルチェーンの名目にかけて金沢に出たいという強いニーズがあって、その頃は毎年のように地価が上がっていた」

ホテルの進出ラッシュが勢いを増す中、旅行客が宿泊先を選ぶ基準も様々です。


旅行客は…
「新幹線とセットで安いところ」
「駅の近くがいいなって」
「近江町市場から歩いて行けるところ。徒歩圏内で兼六園を観光出来るところ」「場所よりも朝食、価格で。2人とも食べるのが好きなので、せっかくなら美味しい朝食を食べたいというのが基準」