伊沢拓司との出会いとQuizKnockの誕生

野村:
マンションの一室で、まさにベンチャー企業という感じですね。そのような時期を経て、伊沢さんとはどのようにして知り合ったのですか。

衣川:
ソーシャルゲーム事業が立ち行かなくなり、会社を畳むことも考えていたときに、クイズ×メディアという新しいサービスを思いつきました。そこで、以前クイズ制作の協力依頼でつながりがあった東大クイズ研究会に声をかけたのがきっかけです。

ここまで自分で様々なサービスを作っても世の中に浸透しきれない経験から、ブランドや発信力がもっと必要だと感じました。そこで、東大のクイズ研究会に声をかけて、何人かとご飯を食べたときに伊沢と出会いました

野村:
そのときの反応はいかがでしたか。

衣川:
新しいサービスを始めるにあたり、中心となるリーダーが必要だということは痛感していたので、伊沢を含めたメンバーと出会い、彼のパワーやパッションに惹かれました。クイズとメディアについて話し合った際、彼がサービスの構成やコンテンツのアイデアをその場で考えてくれました。

しかし、当時は資金が底をつきかけていて……少なくとも「1、2か月後のリリースを目指すから、1か月半で準備をしてほしい」という無茶なスケジュールを伊沢に伝えました。

野村:
かなりタイトなスケジュールですね。

衣川:
無茶ぶりでしたが、私が目指す未来を伝え、一緒に頑張ろうと呼びかけたところ、伊沢が具体的なスケジュールや必要な準備を色々な人と協力して進めてくれました。

野村:
最初に選んだのがWebメディアで記事を配信していくという形態でしたが、なぜWebメディアを選んだのでしょうか。

衣川:
海外でクイズメディアが誕生しており、いける可能性があると感じました。そして「baton」という名前には、次世代に伝えたい学びを届けるという意味が込められているんですが、届ける形としてメディアを持つことが重要だと考えたからです。現実的な理由としても、当時は資金が限られていたため、Webメディアなら比較的早く立ち上げられるという判断もありました。

特に伊沢には、「クイズを通して教育を良くしたい、学びを楽しくしたい」という思いを伝えました。一方、彼自身の目標はクイズ業界への「恩返し」でした。大学生の年齢でそんな熱い思いを持っているのかと感銘を受け、彼こそ組むべきパートナーだと確信しました。