「よって本案は可決しました」

3月4日の衆議院本会議場。議場には与党(自民・公明)と日本維新の会の議員たちの拍手が響き渡った。少数与党で迎えた今国会、来年度予算案が賛成多数で衆議院で可決に到ったのだが、実はこの前日まで、与党と維新はギリギリの攻防を繰り広げていた。

自公維合意文書を締結、維新は来年度予算案に初めて賛成

時は2月25日の夜に遡る。自民・公明・維新の3党の党首は高校授業料の無償化に向けた支援拡大と社会保険料引き下げへの3党の協議体設置などを盛り込んだ合意文書に署名し、維新が来年度予算案に賛成することが確認された。

(自民党 石破茂総裁)
「このような与野党の建設的な協議の合意は我が国の国会のあり方としても、非常に意義深いものであり、我々自由民主党といたしましては、合意事項の実現に向け、責任と誠意をもって対応いたしてまいります」

(日本維新の会 吉村洋文代表)
「維新の会が掲げる公約を実現できるという意味で大きく前進したと思っています。本予算についても、賛成をして全体を前に進めていくということになります」

合意文書の主な内容は以下である

・教育無償化
―来年度から910万円の所得制限があった支援金11.88万円について、所得制限を撤廃し全世帯に支給。再来年度から590万円の所得制限があった私立加算39.6万円について、所得制限を撤廃し、45.7万円に引き上げる

・社会保険料の引き下げ
―社会保険料の国民負担軽減のためハイレベルな3党(自公維)協議体を設置する。
協議体ではOTC類似薬の保険給付のあり方の見直し、応能負担の徹底などを検討するとされている。

日本維新の会結党以来、初めてとなる新年度予算案への賛成。維新では「教育無償化に比べて社会保険料引き下げについては具体性に欠ける、これでは不十分では?」などと両院議員総会の採決で反対票を投じた議員もいたが、最終的には賛成でまとまることとなった。これで予算案の賛否をめぐる攻防には決着がついたかに思われた。