■「対話的に進めるのが共生」
札幌市北区にあるイスラム教の礼拝所「モスク」。
宗教法人が運営し、国内外からの寄付金で2023年に完成しました。
イスラム教徒=ムスリムの数は、道内で1万人を超えると言われています。
札幌市に住む多くは、北海道大学の学生や研究者たちです。
・北海道イスラミックソサエティ モハッマド・トゥフィック会長
「イスラム教のイメージは世界的に見たらそんなに良くないと思っている。本当はイスラム教は戦争大嫌いです」
宗教法人の会長で、北海道大学で歯学を研究するモハッマド・トウフィックさん。
妻のラビバさんお手製のバングラデシュ料理を用意し、歓迎してくれました。
2007年に国費留学生として札幌市に来たときは、赤ん坊を抱えての来日だったといいます。
・妻のラビバさん(43)
「子どもたちの面倒をみるのにそれほど苦労しませんでした。日本の環境は子育てをするのにとてもよかったです」
子どもたちは2人とも、日本の高校に通っています。
イスラム教の文化に興味を示す友人も多く、尊重されていると感じています。
・長男のユーフスさん(16)
「僕らのクラスだけはクリスマス会じゃなくて、普通の学級(お楽しみ)会をしてくれて、たった1人のためにも配慮してくれてとても優しいなと思った」
・長女のタスィンさん(17)
「私が食べられないもののリストを送ってと言われて、送ったらそれが入っていないものをお土産に買って特別なものを持ってきてくれた」
一方で、札幌市が検討を進める、多様性を認め合う社会を目指す条例案に対し、市民の一部からは、「価値観の押し付け」、「外国人の受け入れによる治安の悪化」などを懸念する声が寄せられています。
専門家は、「周りと同じ」をよしとする環境の中で育つ日本人は、多様性を受け入れる耐性が比較的弱いと指摘します。
・武蔵野大学 グローバル学部 神吉宇一 教授
「同じように考えて話ができる人たちなんだという接点を持っていくことが極めて大事。ちゃんと対話的にやっていく。どこまで認め、どこまでなら妥協できるということを折り合わせていくプロセスが『共生』だと思う」
トウフィックさんも、お互いの文化を消し合うのではなく、まずはお互いに知り話し合ってくことが、ともに暮らす社会に必要だと考えます。
・北海道イスラミックソサエティ モハッマド・トゥフィック会長
「海外の人が来たらわからないこといっぱいある。日本の文化はすごく良い文化だから私たちも習いたい。それを習う方法が欲しい。人間として一番大事なのは、(相手の)いいものは受け取って、自分を変える。本当は話さないと、友達にならないとわからない。いろんなダイバーシティ(多様性)があればいいと思う」
