突然の病でパートナーが全身マヒとなり、24時間介護となったら…。眼球の動きで夫の意思を把握している妻が、軽妙な筆致とマンガで記録した書籍を出版した。2月11日放送のRKBラジオ『田畑竜介GrooooowUp』で、夫とかつて同僚だった、RKBの神戸金史解説委員長が紹介した。

マンガと笑いでつづる24時間介護の10年

『眼述記』の表紙

今日は、スタジオに本を持ってきました。『眼述記全身マヒになった夫が文字盤で最初に示したのは「さわるな」の4文字だった。』(文・マンガ:高倉美恵、忘羊社刊、税別1750円)です。

眼球が動くので、文字盤を指し示して意思表示できる。でもそれ以外は全身マヒという状態。そんな夫と暮らしている高倉美恵さんが書いた文章とマンガで構成されています。本の帯には、「ダメでガサツな妻だけど絶望だけはしたくない。脳梗塞で倒れた”毒舌”の夫と文字盤でバトルしながら駆け抜けた10年の記録」とあります。

【高倉美恵さん】
1965年、北九州市生まれ。京都府立東稜高校卒。1983年から、京都、福岡、山口、東京などの3書店(9店舗)で勤務。1994年、西日本新聞での連載開始。2014年、夫・矢部明洋さん(当時51歳)が脳出血を発症し、全身マヒに。以降、在宅での24時間介護を続ける。著書に『書店員タカクラの、本と本屋の日々。…ときどき育児』(2006年、書肆侃侃房)。


高倉美恵さんは、元書店の店長さん。ライターでもあり、マンガ付きで子育てエッセーを毎日新聞に連載していました。その連載を担当した学芸記者は、夫の矢部明洋さん。RKBラジオにもコメンテーターとして出演していました。

【矢部明洋さん】
1963年、京都市生まれ。87年に毎日新聞社入社。静岡支局、福岡総局、山口支局を経て、西部本社学芸課長時の2014年、脳梗塞と脳出血を発症。2019年退職。著書に、葉室麟さんとの共著『日本人の肖像』(2016年、講談社)、『平成ロードショー全身マヒとなった記者の映画評1999?2014』(2022年、忘羊社、イラスト高倉美恵)。