国内外で高く評価されている岐部さんの作品。アイデアの源は「日々の暮らしの中にある」と話します。

岐部さん:
「作品づくりは考えてもわかるものではなく、普段の生活の中に巡りあわせがある。常にアンテナを張っていて、出くわすことができれば、それが最高の喜びです。才能がある人もない人も結局、同じ道を辿るんだと思います」
去年12月、別府市で竹工芸を学ぶ人たちと一緒に県立美術館の「生野祥雲斎展」を訪れた岐部さん。人間国宝の遺した独創的なデザインや巧みな技を目にして、内に秘めた創作意欲も高まったようです。

岐部さん:
「空間を活かしていますよね。竹を縦に使って。だから動くことによって中の影の表現が変わっていく。天才的な才能の持ち合わせもあったのかな」
岐部さんは人間国宝に認定されたことで、作品づくりに「怖さ」を感じる一方、自らの理想に近づく「チャンス」と捉えています。

岐部さん:
「竹は鏡みたいなもの。自分の考え方も変えないと、いい作品にはならない。自分を磨くことが必要なんです。山登りのように一歩一歩登れば、いずれ頂上にたどり着く。それを楽しんでいます」
「作品を作ることが自分の本来の姿。うまくいくこともあるし、うまくいかないときも当然ある。続けるということは意義があるとみんなに伝えたい」
日々、試行錯誤しながら竹と向きあう岐部さん。その真摯な姿勢と飽くなき探求心で生み出される作品はきょうも出会った人を感動させます。