重要無形文化財保持者、いわゆる「人間国宝」は伝統的な芸能や工芸の分野で、高い技術を体得した個人を国が認定する制度です。去年、竹工芸の分野で人間国宝となった岐部笙芳(きべ・せいほう)さん(73)は、日々の暮らしの中でアイデアをみつけ、30年以上にわたって作品を作り続けています。

地道で丁寧な手作業で竹に命を吹き込む竹工芸。岐部さんは、大分県九重町の自宅兼工房で創作に打ち込んでいます。

岐部さん:
「これは茶托になる。こんなの何枚作ったか分からん。100枚単位で何百作ったかなという感じ」

大分県内で「人間国宝」に認定されたのは、1974年に亡くなった竹工芸作家の生野祥雲斎に続いて2人目です。

岐部さんは、高校を卒業して地元のガソリンスタンドで20年近く働いたあと、中学校時代の恩師の助言で37歳の頃に竹工芸家を志しました。繊細な技術で竹の色合いや弾力性を活かした作品を次々と生み出し、その功績が認められ、2014年には紫綬褒章を受章しました。