国籍の出生地主義を廃止 司法長官「大統領令は違憲だ」 狙いは?

上村キャスター:
続いて「出生地主義の廃止」についてです。
出生地主義とは、両親がアメリカ国籍でなくとも、アメリカで生まれた子どもに自動的に国籍を与える制度のことですが、トランプ氏は第一次政権のときから反対していました。
トランプ氏の発言(2018年の現地メディアのインタビュー)
「外国から来た人が生んだ子どもが米国市民になって、あらゆる恩恵を85年も受けられる。これは馬鹿げている」
大統領令に待ったをかけているのが、22の州の司法長官です。「出生地主義は憲法が規定しているので、この大統領令は違憲だ」として、差し止めを求める訴訟を起こしています。
ニュージャージー州の司法長官は「大統領令は憲法の文言をペンで消すようなことはできない」と強く批判しています。
井上キャスター:
基本的には、交渉のために高いボールを投げて、アメリカに有利なように落としどころを探るという、トランプさんのやり方ではあるわけですよね。

早稲田大学教授 中林美恵子さん:
テーマごとに濃淡があると思いますが、不法移民などに対して厳しいのがトランプ氏です。
外国人でもアメリカに来て子どもが生まれれば、アメリカの国籍を取る。それどころか、不法移民でもアメリカで生まれた子には国籍をあげるということになってしまうので、普通の国と同じように、昔から移民の国ではありましたが、立て直した方がいいのではないかという提案です。
憲法を修正するには、大変な時間がかかります。憲法修正14条で「出生したときに国籍がもらえる」とされていますが、トランプ氏はおそらく憲法解釈を変えたいんですね。
司法に訴えてもらえれば、こっちのもの。最高裁に行けば、保守派が6人、リベラル派が3人ですから、もしかしたら、憲法解釈を変えて「アメリカ市政の中で生活している外国人は、外国人だから憲法が保障する中に入らない」というかもしれません。「その子供も入らないので国籍を与えない」そういう理論も成り立つようです。
でも、人権とかそういうものから見たら、たくさんの議論が出てくると思います。
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<プロフィール>
中林美恵子さん
早稲田大学教授
元アメリカ議会上院補佐官(共和党)
今村翔吾さん
「塞王の楯」で第166回直木賞受賞
歴史・時代小説家 30歳までダンス講師