なぜ?WHOから脱退 「新型コロナ対策が不十分」「拠出金の差」

上村キャスター:
“WHOから脱退”について、大統領令に署名しました。

WHO=世界保健機関は、1948年に設立され、194の国や地域が加盟していて、世界中の人々の健康増進が目的で作られた機関です。

「新型コロナ対策が不十分だった」「中国の人口はアメリカの3倍なのに拠出金は9割も少ない」ということで脱退しました。

【拠出額のトップ5】
・米国 約9.5億ドル(約1487億円)
・ドイツ
・英国
・中国 約2億ドル(約313億円)
・日本

中国と比べると、アメリカはとても多くの額を拠出していることがわかります。

WHOは急きょ声明を出しています。
「アメリカは70年以上にわたってWHOとともに数えきれない命を救ってきた。考え直してくれることを願っている」

今後の影響について専門家は…

厚労省厚生科学審議会感染症部会 谷口清州委員
「WHOの研究は、アメリカのCDC(疾病対策センター)が担っている。CDCのメンバーが抜けてしまうと、次にパンデミックが起きた時に対応できない」

井上貴博キャスター:
WHOについて「コロナ禍で何も機能しなかった」などのように、国連も含めた国際機関不要論が広がっていますが、人口比率を考えない拠出金の基準になっているので、すごく不公平だと。

今まで政治家が言ってこなかった部分にトランプさんが切り込み、熱狂する一定の層がいて、そこに向けて(訴える)という、トランプさんは一貫していると思います。

歴史小説家 今村翔吾さん:
トランプさんの論調を聞いて「日本も引き上げたらいいじゃないか」という声が出てくるし、そう考えるのも間違いではなく、一つの意見としてはあると思います。

何かしら変化は必要かもしれないけれど、次のビジョンが見えていないと混乱を生じかねないなと思います。

早稲田大学教授 中林美恵子さん:
トランプ氏は、コロナ禍(2020年)の頃、脱退しようということで命令を出しましたが、脱退の宣言をしてから、1年間は猶予があるので抜けられませんでした。そうこうしているうちに、民主党議会が予算を出し、21年からバイデン政権になってしまったので脱退しませんでした。

今度は、あと4年ありますから、議会も共和党なので脱退する危険性はあります。命と人の健康に関わるものですから、アメリカの責任は大きいと思います。

ホランキャスター:
アメリカの拠出金9.5億ドルがなくなってしまうと、今まで行われていた研究ができなくなったりしますか?

早稲田大学教授 中林美恵子さん:
大いにあります。アメリカが貢献してきたものは非常に大きいですし、パンデミックのような感染症に関する研究は非常に進んでいますから、それを参考にWHOもだいぶ進んできた部分があります。

ただ、最近は中国の影響力が増えていて、トップの人たちも中国政府からの注文は拒否できないような状況や、原因を調べようとしたときに中国が拒否したりして、十分なデータを出してくれなかったんですね。

ですから、脱退という極端な提案を出しつつ、ガバナンス改革や拠出金の見直しなどを進めようという思惑があるのかもしれません。