事故の翌日は妻の誕生日 大地さんから内緒のプレゼントが
事故が起きたのは、大地さんの母親の誕生日の前日。葬式が終わった次の日、大地さんの部屋を整理していたところ、クローゼットの中に折り紙で作った大きな花束を見つけました。
(渡邉明弘さん)
「1ヶ月前に『誕生日はお花も欲しい』と大地に言っていました。それで大地は内緒で折り紙の花束を作って、隠してきたのだと思います。事故がなければその花束を大地から手渡しでもらえたはずでした。妻は大地からの最後のプレゼントを抱きしめて泣き続けました」
「私たちが15年間大切に育ててきた命が、事故が起こってから、たった5時間で終わってしまう…。母親の誕生日に息子が折り紙で作った花束をプレゼントする、という微笑ましい光景も奪われました」
「このように交通事故は、一瞬にして家族の平和を奪います。それは被害者であっても、加害者であっても同じです。加害者の家族も同時に、つらい人生を歩むことになります。そのことを深く記憶に留めておいてください」

事故は、愛媛県の高校生がヘルメット着用するきっかけに
大地さんが亡くなった2014年は、もう1件の悲しい事故が起こっていました。大地さんの事故より9か月前の、2014年3月のことです。
(渡邉明弘さん)
「愛媛県立北条高校の3年生の生徒が、卒業式の日の朝、登校途中の横断歩道で事故に遭い、頭を強く打ち、亡くなりました」
「愛媛県内で、1年の間に2人の高校生が同じような事故で頭を打って亡くなってしまったことで、保護者の心に次は自分たちの子供が事故に遭うかもしれない、という大きな不安と焦りが広がったのではないかと思います」
「そして保護者からヘルメット着用の要望が高まり、PTAや校長会で話し合った結果、翌年の2015年7月に県立高校から一斉にヘルメット着用の義務化が実行されました」
「これが、愛媛県の高校生がヘルメット着用するようになった理由です」
