終わらない「政治とカネ」 8億寄付でも「けじめにならない」85%

一方、夏の都議選、参院選まで「政治とカネ」の問題を引きずりたくない自民党は昨年末、問題の決着を急いだ。

これまで国会で説明をしていなかった安倍派・二階派の衆・参院議員が、公開で政治倫理審査会に出席し、弁明を行った。安倍派幹部だった萩生田光一元政調会長は、政倫審に公開で出席した理由について、裏金問題を「党内的には終わりにする」という条件を党執行部が了承したからだと明かしている。

自民・萩生田光一元政調会長
「この問題は党内的にはもう終わりにするってことを前提に15人は出ましょうと。落選してしまった人たちが政倫審で弁明してないから公認しないといった不利益を今後ないようにしてくれと約束をして、それを執行部が理解したんで、我々揃って出て説明をした」(8日・インターネット番組「ニッポンジャーナル」で)

衆院選で党からの公認を得られなかった萩生田氏、そして二階派元幹部だった平沢勝栄衆院議員はこの政倫審出席後に党の公認の前提となる、支部長に正式に選任された。

さらに、自民党は「党の政治的けじめ」として不記載相当額7億2000万円に“おわびのしるし”8000万円を上乗せし、計8億円を赤い羽根共同募金で知られる「中央共同募金」に寄付した。

年内に「政治とカネ」の決着に急いだ自民党だったが、これで「けじめになると思う」人は9%に過ぎず、85%の人が「けじめにならないと思う」と回答した。

東京・有楽町で有権者を取材しても懐疑的な声が多い。

●「何に使われているかわからない形だと納得しようもない」(20代女性)
●「募金で何か大まかに片付けちゃうようななんかあんまり気に入らないですよね。政治的決着を早くつけたいっていうふうにしか思わないですね」(80代男性)
●「どっかにそのお金を持っていかないとけじめがつかないから、一番やっぱり募金っていう形が一番収まりがいいんでしょうね」(60代女性)
●「小手先っていっちゃ悪いかもしれないけど皆さんが納得する形で(政治資金を)集める仕組みをどうしたらいいのかっていう話し合いを続けて欲しい」(40代女性)

今回の政倫審で「2003年にはノルマ超過分はキックバックがあった(萩生田氏)」ことや「2014年ごろに事務局から収支報告書に記載するなと要請があった」(柴山昌彦衆院議員)ことは明らかになったものの、不記載がはじまった時期や経緯、安倍会長死去後、復活した経緯など真相はわからぬままだった。

さらなる真相解明をはかるため、安倍派の元会計責任者を国会招致すべきかという質問には6割以上の人が「招致すべきだ」と答えている。

与党側はすでに裁判で立証が尽くされていることや、執行猶予中の人物であることを理由に参考人招致には反対したが、野党側は引き続き招致を求めている。立憲民主党の安住予算委員長も参考人招致は全会一致が原則であることから先の臨時国会では招致を見送ったが、「(通常)国会が始まった早い段階、早々この問題について決着をつけたい」としていて通常国会後、この問題は改めて再燃する見通しだ。

期待する政策は「物価高対策」年頭記者会見で総理から言及なし

通常国会では、25年度予算案や税制改正法のほか、とくに重要な法案として5年に1度の年金制度改革の関連法案やサイバー攻撃の被害を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の関連法案、生成AIに関する法案など、政府提出法案は59本にのぼる。そのほか、野党などは議員立法として選択的夫婦別姓制度を導入するための関連法案を提出予定だ。

こうした中で、通常国会でとくに重点的に取り組んで欲しい政策を1つ聞いたところ、一番多かったのは「物価高対策」だった。

一方で、石破総理が三重県・伊勢市での年頭記者会見で、一番の柱としてあげたのは看板政策の「地方創生」で、物価高対策についての言及はなかった。

言及があったのは、政治資金問題、賃上げ、社会保障、震災復興(防災)、外交・安全保障だった。

石破総理
「第1の柱として私は令和の日本列島改造と位置づけ『地方創生2.0』強力にを進めてまいります。強い日本、豊かな日本を進めた時代に、国策として進められたとも指摘される一極集中を見直し、多様性を未来の力に、そのようにしてまいります」(8日・年頭会見で)

2014年、第2次安倍内閣で初代地方創生担当大臣になった石破総理だったが、それから10年を経過しても東京一極集中は改善されていない。今回、25年度予算案に地方創生交付金として新たに2000億円以上を計上し、前年度から倍増させたが反省を生かせるか。バラマキだと批判されないためには、結果が求められる。