廃業のワケは「後継者がいない」「高額の設備更新」

店は地元に愛され続けた“町のケーキ屋さん”。売り上げも大きく減っているわけではありません。それではなぜ閉店してしまうのでしょうか?

(濵田さん)「後継者がいないっていうこと。長年、働いている子がもしいるとすれば、その子に、やってみるかということは言えたと思うんです。そういう状態でもなかったので。私には子ども2人いますけど、2人ともケーキ屋をやるつもりもないので。多分親2人がいつもせかせか働いている姿を見ているので、やる方には傾かなかったのだと思います。休みも少ないし、他の家のお父さんお母さん、週2回休んでどこどこに連れて行ってもらったって、そういうのを体験してきているから、後を継いで同じことをやると思うと、なかなかそういう踏ん切りはつかないと思います」

さらに、冷蔵庫などが老朽化し数年以内に買い替える必要がありました。そのためには多額の費用が見込まれましたが、濵田さん自身、60歳を目前に控える中、いつまで営業できるか不安になり、廃業を決めたといいます。

(濵田さん)「一つには、ショーケースがあるじゃないですか。ショーケースが壊れたらやめようと思っていたんですけど、それが壊れる前に他の物がどんどん壊れだして、壊れたものを全部入れ替えたとき、ショーケースが壊れてもやめられへんとなって、早めに踏ん切りをつけたというか。れ壊れたってもうあかんねんと、業者さんも古いから直せないと言われて、やっぱり正解やったなって。だましだましだまし使っていたものがそうなっていくので。古いから入れ替えていけばよかったんですけど、愛着がある機械とかって壊れてどうしようもなくなるまでやはり使い続けるんですよね。するとどういう結果になるかは身に沁みました」