高齢者はもちろん、手術歴のある人は注意 腸閉塞は命にかかわることも
北品川藤クリニック 石原院長
「ご高齢の方、お腹の手術をした方はより注意が必要ですね」
窒息事故と同様、餅を食べる人は高齢者が多いこともあり、石原院長のクリニックでも腸閉塞になりやすいのは50代以上が多いという。また、高齢者に限らず、お腹の手術をしている人も起こりやすいと話す。
石原院長
「例えば腸を手術で切って繋いだら、その部分は無理に繋いでいるから運動機能が落ちてしまい、動きが悪いから詰まりやすくなる。だからリスクがありますね」
ただ、基本的に餅による腸閉塞は、固まった餅が腸に引っ掛かったことによって起こるため、比較的軽症で、ほとんどの人は数日間入院し、絶食と点滴による治療を行う。そうするとだんだん固まった餅が腸を流れ、肛門から出ることで落ち着くことが論文「Rice cake ileus」でも記されている。
自分は若いし、手術もしていないから大丈夫…と思ったが、どんな人でも腸閉塞になる可能性はゼロではない。
石原院長
「腸閉塞は一時的に詰まるものですが、本当に詰まってしまうと腸に栄養が届かず、壊死することもあり、馬鹿にできるものではないと思います。命にかかわることもあるので、軽いから大丈夫とは言えません」
では、対策法はあるのだろうか。石原院長によれば、やはり窒息の対策と同様に、小さく切って食べた方がいいという。
石原院長
「餅は切りにくいものですけど、過信せず小さく切ってゆっくり食べましょう。その方が安心ですよ」

腸に餅が詰まったことがあるというAさんも、高齢で手術歴があったというため、腸閉塞になりやすい条件がそろっていた。普段から窒息には気をつけていたが、餅で思いがけず腸閉塞になり、つらい思いをしたが、やはり餅は好きなので、最近はよく噛んで、恐々と食べているという。
Aさん
「お餅はおいしくて、みんな食べるでしょうけど、詰まらせないようにしないと。のどだけじゃなくてね。お餅を甘く見ないように」
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<取材協力>
北品川藤クリニック 院長 石原藤樹
医学博士。大学卒業後、信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科で研修の後、1998年より「六号通り診療所」所長。2015年、「北品川藤クリニック」を開設。診療の傍ら「北品川藤クリニック院長のブログ」でほぼ毎日情報を発信。著書に『健康で100歳を迎えるには医療常識を信じるな!』(KADOKAWA)、『実年齢56歳、血管・骨年齢30代の名医が実践!コーヒーを飲む人はなぜ健康なのか?』(PHP研究所)などがある。