利上げで暮らしへの影響は?

 日銀は今年7月に追加の利上げを決めましたが、政策金利が上がると暮らしにどんな影響があるのでしょうか。シンプルに4つの分野に分けると…

 ▼為替:円高に
 ▼物価:下がる傾向に
 ▼預金:金利が上がる
 ▼住宅ローン:負担が増える

 なぜ、政策金利を上げると、円高・物価安になるのか。日本は7月に0.1%→0.25%に政策金利が上がりました。アメリカは12月に4.75%→4.5%に下がりました。この数字というよりは、「日本は上がった」「アメリカは下がった」という点が1つのポイントになっています。

 日米の金利差はまだまだ大きいですが、日本が今後“金利を上げそう”というフェーズに入った空気が投資家たちを刺激し、「金利がつくなら日本の金融商品も買ってみようか」という動きになるようです。アメリカの金利の方が高いと「アメリカに投資した方がいい」という考えが大方ですが、日本もこれから金利を上げていくなら、日本への投資もリターンが大きいのでは?と投資家の考え方が変わっていく。そうなると、円が今までよりは買われるため、円高に転じていくという動きが発生します。

 日本はモノの多くを輸入品に頼っています。円高になると、例えば、10ドルの肉を買うのにこれまで1600円かかっていたのが、1400円で買えることも。仕入れ値が下がるので、輸入品全体の価格が下がっていきます。ということで、政策金利が上がると物価が下がる傾向にあるということです。

 日本の政策金利は今年、17年ぶりの利上げが行われました。マイナス金利から“金利がある世界”へと変わりましたが、今回、0.25%に据え置くということを日銀の植田総裁が発表しました。据え置き、つまり金利を上げないという判断になり、マーケットを見ていても円安に振れました。発表前は円高傾向で、「政策金利が上がるかもしれない」という期待があったとみられます。

 政策金利を据え置きにした理由について、植田総裁は会見で「賃金と物価の好循環の強まりを確認するという視点から、今後の賃金動向についてもう少し情報が必要だと考えた」とコメントしています。