桑畑さんと佐々さんの出会いは、東日本大震災から5年が経った2016年春に遡ります。
震災前、市内で最大規模と言われた桑畑書店は津波で被災し店と5万冊の本を失いました。

店主の桑畑さんは、泥の中から拾い上げた顧客名簿を頼りに自転車で本を配達する日々。
東日本大震災で被災した製紙会社の復興を描いた『紙つなげ!彼らが本の紙を作っている』を上梓したばかりの佐々さんは、移動図書館で被災地を支援していた友人の鎌倉幸子さんと被災地を巡っていました。
その途中に、プレハブ仮設で営業を続けていた桑畑書店を訪れたのです。
(桑畑眞一さん)
「名前は存じていましたが作品は読んだことが無かったやわらかい話し方をされる人だなという印象だった。震災を題材にした照井翠さんの俳句集にものすごく興味を示されたのを覚えています」
被災の苦難の中にあっても「本を待っている人のために」と奮闘する桑畑さんの姿に佐々さんは心を動かされます。