“ニッポン脱出” 海外で稼ぐのはアリ?
小川彩佳キャスター:
国外に商機を見出すということですが、斎藤さんは現在ドイツにいらっしゃって、国外から日本を見て感じることはありますか?

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
先日も、家族でラーメンを食べに行きましたが、円安の影響で2万円くらいしました。私もこれ見ながら、脱出しようかなと考えていました。
脱出のネックは、例えば日本はドイツと比べてもご飯が美味しいし、安いし、「ラーメン二郎」とか食べたくなるんですよね。日本は、そういうのを今まで内向きにしかやってこなかったけど、世界に向けて本気を出せば、まだまだビジネスチャンスはあると思います。
私が注目しているのは、「ホテル」や「食」もそうですが、小林よしのりさんの漫画で「おぼっちゃまくん」が80年代の人気作品としてありますが、今インドで「おぼっちゃまくん」が流行っているんです。
今度その新作アニメが、インド全土で放送されるようになっています。インドは人口が10億人いるので、小林さんはもう大富豪ですよね。
そういうコンテンツも海外でかなり伸びしろがあるので、チャンスはたくさんあると思います。
小川彩佳キャスター:
そういった話を伺うと嬉しい一方で、VTRを見ていても逆に日本に残っていたら未来があるのかどうかも気になってしまいます。斎藤さんもドイツにずっと住み続けたいなと思われますか?
東京大学准教授 斎藤幸平さん:
チャンスは海外に出たほうがあると思うので、やる気のある若い人が外へ出ていくというのはいいと思います。
ただ、日本もそれなりに安定・安全だし、食べ物もおいしいので快適ではあります。だから、成長リスクをとるか、どっちをとるかですよね。
ベトナムのようには日本はならないけれど、粛々と縮んではいくけれども、のんびりライフを送ってみようといった流れになるのではないでしょうか。
もしかしたら、ドイツも含めた先進国はだんだん成長しなくなっていくので、そういった新しい日本の価値観・脱成長というのが、逆に世界に将来的に売り出せるかもしれないと考えています。

TBSスペシャルコメンテーター 星 浩さん:
日本はこれまで低金利が続いて、ぬるま湯状態でイノベーションが起きない状態のところに、世界は情報革命になり、取り残されてしまいました。
ですが、ここにきてDX政策や金利も上がってきて、チャレンジ精神も出てきたので、この辺が新しい芽になって広がっていくといいですよね。
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〈プロフィール〉
斎藤幸平 さん
東京大学准教授 専門は経済思想・社会思想
著書『人新世の「資本論」』が50万部突破
星浩 さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年