「石破総理の認識はバツ」30年前は”廃止”で河野氏と一致

ーー94年1月28日。雪が降ってたというふうに聞いてます。細川総理と自民党・河野総裁が政治改革案を取りまとめました。ところが石破総理は“当時企業献金が廃止の方向になった事実はない”と主張しています。実際はどうだったのでしょうか。

一言で言うと石破総理のお話は、○か×と言われたら×だと思います。政党助成制度と企業献金の禁止がですね、直接関係ないと言われたわけですが、誰が考えてもそれは二重取りになるわけですからそれは企業献金が正当化されるような石破総理の言いぶりっていうものには、やっぱりちょっと私は大いに気になりますね。

ーー当時、「見直し」というのは「廃止」を念頭に置かれていたのでしょうか。

意識としては完全にそうでした。見直しという意味は、廃止をするという、そういうことでした。

ーー細川総理と自民党・河野総裁との間で、その認識は一致していたのでしょうか。

はい。多分一致していたんだろうと思います。河野さんも。

ーー「5年後見直し」ということになったわけですが結局、政党に対する献金は現在も続いています。

それはもう30年経ったんだからもう早くそのとき決めた通りにやってくださいっていうことしか言いようがないですね。

ーーどうして「5年後見直し」ということになったのでしょうか。

若干期間を置かないと大変だからという話が自民党の中でもちろんあったでしょうけれども、当時の与党の中でもそういう話がありました。だから3年でも別に構わないんだけど、それじゃ足りないって当然言われる方々が出てくるだろうから、5年ぐらいが適当なところかなということですね。

ーーその5年後の99年に議員の政治資金管理団体への献金は禁止になりました。しかし引き続き政党への献金は存続され、禁止された個人献金も「パーティー券」という形で新たな抜け道としてうまれました。それが今回の裏金事件につながっています。

早くやってもらってないからこういうことになるんだということですよね。本当に私達ももっと声を上げなきゃいけなかったと思いますけどね、その時点で。でも本当にしれっと通り過ぎちゃったわけですから。当時やってた人はもう少ししっかりしてもらいたかったなと。

ーー当時しっかり抜け穴を塞がなかったからこういう事態になったとも言えます。当時、このような事態になると想像していたでしょうか。

してなかったですね。意外な感じという言い方がいいかどうかわからないけど、やるべきことをきちんとやっていればね、こういうことは起こらなかったわけですよね。政治改革、政治改革といって、口先ばかり言ってるんじゃなくてやっぱり押さえることをきちんと押さえていかないとますます駄目になっちゃいますよね。

ーーなぜ「見直し」という文言は「廃止」とはしなかったのでしょうか。

それはどうしてかな…ちょっとそれはわかりませんね。私も。

細川氏と「平成の政治改革」をまとめた自民党・河野洋平元総裁も去年、衆議院がおこなったインタビューで「5年後見直しという条件で企業献金を廃止することで合意できた」と証言している。さらに「公費助成が実現できたら企業献金は廃止しなきゃ絶対におかしい(中略)企業献金が政策の歪みを引き起こしているからそれを止めろということだったのに本当におかしいよね」とも話す。細川氏も「河野さんと企業献金を廃止する認識で一致していた」と証言していて、2人の証言通りであれば、石破総理の認識は誤りということになる。

しかし、この認識の齟齬を引き起こしたのは、当時の合意文書に「見直し」ではなく明確に「廃止」と書かなかったことだ。合意を優先し”不都合”なことを明文化しなかったのは当時の知恵かもしれないが、廃止と書かなかった理由について、細川氏は残念ながら覚えていなかった。