代わりに「本物」で勝負? 「相手が出してくるとお手上げ」

しかし、書類屋たちの最近のトレンドはさらにその上をいく。

「偽造書類をたくさんつくるのがトレンドではなく、偽造はできるだけ減らす。代わりに『本物』で勝負するのです。偽造するのは本人確認書類くらい」と長田さんは話す。

「例えば、役所で『印鑑カードを失くした』と申告すると、一応本人確認をされるけれども、免許証を見せて、さらっと簡単な質問をされるだけで、新しく印鑑証明がつくれてしまう。それで取引に臨まれると、相手が出してくるのは本物なので、お手上げです。土地の権利書も、昔は偽造の権利書をつくっていたけれども、司法書士もプロなので『ここは譲れない』と必死で見るため、『権利書が最初から無い』という設定にするわけです」

そして、地面師詐欺に欠かせないのが、売り主の「なりすまし役」とその「手配師」だ。

「なりすまし役には、実際に役者をしている人が選ばれることもありますが、手配師が繁華街の風俗グループとつながっていて、特に借金がある風俗関係者などを中心にスカウトすることがあるようです」と佐藤は実情について語る。