トランプ“忠臣人事” 通商政策への影響は?

トランプ氏は次期政権の経済政策の司令塔となる財務長官に投資ファンドの経営者スコット・ベッセント氏を指名すると発表した。アメリカの政治経済に詳しい丸紅経済研究所の今村卓社長は今回のトランプ人事について…
丸紅経済研究所 今村卓社長:
トランプ氏が自ら忠臣で固めたということ。1期目はトランプ氏は政治家としては素人だったので組閣の仕方も分からなければ、閣僚選びもかなり共和党に任せていた。結局主張において合わなくて、すべて解任するしかなくなった。2期目はこの失敗は繰り返さないと。そのために自分の忠実な部下で固めるんだと。

トランプ氏が、財務長官のベッセント氏にかける期待とは…
丸紅経済研究所 今村卓社長:
株価や景気がいい中で、減税をやっていく。うまく両立させる必要がある。これができるという人はなかなかいない。

またトランプ氏は、通商代表部=USTR代表にジェミソン・グリア氏を起用すると発表した。グリア氏は第一次政権のときには、当時のライトハイザー代表の側近として、日本や中国との貿易交渉にも立会った。
丸紅経済研究所 今村卓社長:
最大のターゲットは中国。アメリカの労働者の雇用を奪ったのが中国の製造業であり、しかも中国はアメリカから稼ぎながら、アメリカから覇権を奪おうということまで習近平が口にしている。中国と自由貿易をやっていくのはさすがにもう限界であると。これからむしろしっかり関税を課して、中国からの流入、割安なのを阻止していく。他の国に移ってしまったアメリカの製造業を国内取り戻す。
ただ、今村氏はトランプ氏の通商政策に警鐘を鳴らす。
丸紅経済研究所 今村卓社長:
高関税は、決してアメリカのためにならない。誰が関税を払うかというとトランプ氏は否定するが、誰が見てもアメリカ人が払う。結局、(日本の)消費税を払うようなもの。そして雇用が戻ってくるかというと、アメリカに加工・組み立てをするような労働集約型の製造業が戻ってくる可能性は極めて低いと思う。

一方、これまで日本とのパイプ役だったライトハイザー氏や元駐日大使のハガティ氏は要職に起用されなかった。日米の経済関係の交渉はどうなるのだろうか。
丸紅経済研究所 今村卓社長:
いち早く日米の経済関係は貿易から直接投資へとシフトしてきている。しかも、稼いだ収益はまたアメリカで再投資していくモデルになっている。そこを強く訴えてこの理想型をわざわざ高関税で邪魔をする必要はない。十分合意はできると思う。