次期トランプ政権 人事から透ける思惑

――トランプ次期政権の閣僚人事が次々と発表されているが、今回は前回と違って動きが早い。

明星大学経営学部教授 細川昌彦 氏:
相当準備をしてたようです。

――前回は遅れに遅れて、もめた人事もあった。今回、注目の人を挙げてみる。国務長官については対中強硬派のルビオ氏だったが、名前の知らない人が次から次へと出てきた。国防長官は、ヘグセス氏。いきなりテレビ司会者が就いても大丈夫なのか。ほかにも、司法長官には保守強硬派のマット・ゲーツ氏、国家情報長官には元民主党下院議員のトゥルシ・ギャバード氏…みんな「いわくつきの人」だ。

明星大学経営学部教授 細川昌彦 氏:
実はこの顔ぶれ。ルビオ氏以外の3人は「唖然とする三羽烏」といわれている。特に司法長官のマット・ゲーツ氏は、性的人身売買や薬物使用など犯罪の嫌疑でやられている話。(司法省の捜査の対象になり)司法省に自分が恨みを持っているところに入り込んでそこを大改革するように見える。

それから、国防長官のヘグセス氏もそうだし、国家情報長官もそうだが、この3つ(司法・国防・国家情報)というのは、軍と司法と情報と、ものすごい権力装置。この3つの権力装置に組織への「憎しみ」を持っているような人材を配置していて報復しかねない。

――トランプ氏にしてみれば、前回政権時あるいは、その後の刑事訴追などあり、言うことを聞かなかった組織に対する復讐、報復、あるいはその組織そのものを解体するという敵意を感じる人事。

明星大学経営学部教授 細川昌彦 氏:
そういう意味では自分の意のままで忠誠を誓う人たち、いわば自分のクローンのような人間を配置して、そこにメスを入れるということ。(だから「お友達人事」などという)そんな生やさしい問題ではない。

ただしこれから先、閣僚なので上院の承認が要る。そうすると司法長官のゲーツ氏はもう通らない、承認されないだろうという声になっていて、そういうことを織り込み済みで名前を言っているという説まで出てきている。

――次は、経済閣僚を見てみると、まず独立候補として立候補してたケネディ・ジュニア氏がワクチン反対派で厚生長官になったというのも驚きだが、イーロン・マスク氏が、政府効率化省責任者、日本で言えば行革委員会の委員長みたいなものになる。マスク氏を使って、いろんな役所に手を突っ込んでいこうという表れか。

明星大学経営学部教授 細川昌彦 氏:
Twitter社を買収して、もう大ナタを振るったが、同じようにやられるのではないかという話ともう一つ言われてるのは、マスク氏の事業「スペースX」にしろ、通信の「スターリンク」や脳にデバイスを埋め込むような事業「ニューラリンク」など、いろんなところが全部、役所の行政機関から叩かれたり、規定を受けたりしているという背景を持っている。ただし直接的にそういうところに手をつけると、これは利益相反になる。

予算人員を減らしていく独立行政委員会に大ナタを振るうということも十分あり得るなど、いろんなこと言われている。もう一つ懸念されているのは、中国のビジネスに相当入っていて、対中強硬だけで来た時に、どう声を上げるかということもある。

――通商代表はまだ決まっていないが、元通商代表のロバート・ライトハイザー氏が戻ってくるかもしれない。

明星大学経営学部教授 細川昌彦 氏:
日本にとっては聞きたくない名前かもしれない。打診はされたが、(本人は同じ役職には不満があり)同じ役職かホワイトハウスの中に新設の通称ポストを設けて、メンツを立てて処遇するという話など飛び交っている。いずれにしても、通商分野では出てきて取り仕切ることは多分多間違いないだろうと言われている。