次期トランプ政権 焦点の高関税は?

――関税政策だが、トランプ氏は、対中製品には60%。日本を含む他の国からの輸入品には10~20%かけますと言っているが、本当に日本からの自動車などに20%の関税をかけるのか。

明星大学経営学部教授 細川昌彦 氏:
「脅し」として言うだろう。対中国の60%と、他の国への10から20%は意味合いが違う。税率の高低の違いだけではなく、中国の場合は「戦略的デカップリング」という言葉があるぐらい分断をして、これからも辞さないという構えだ。

――中国経済をアメリカ経済、さらに世界経済からも切り離す。

明星大学経営学部教授 細川昌彦 氏:
はい。だから中国製品・安いものが入ってこないようにすると同時に、国内で製造業を起こしていく、復活していく、このために(必ず、ほぼ全部)やるという世界。それに対して、日本・同盟国も含めて脅しで、これから先、他のものを取るための「交渉の武器」として使う。自動車だけでなくそれ以外の、他の物を取るためにやるから、交渉の道具として使うという意味でやる。全てを20%にするわけではない。

――前トランプ政権の時に日本は「日米貿易協定」の交渉で大変苦い思いをしている。アメリカがTPPから脱退して、「農産物の引き下げなど恩恵がないので、アメリカにもそれをよこせ」ということだった。その時「25%の関税を自動車にかける」と脅してきたので、日本は結局譲歩した。

明星大学経営学部教授 細川昌彦 氏:
自分の方から勝手に脱退しておいて、TPPの日米の関税引き下げは両者で、パッケージで、ギブアンドテイクで合意する。だから日本の農産物とアメリカの自動車関税5%がセットで合意していた。TPPから脱退すると、日本の農産物、オーストラリアや競争相手はどんどん日本に安い市場価格で入っているのに、アメリカは昔のままだと(自分たちから勝手に脱退したのに怒って)それをちゃんとよこせと言ってきた。

本当はTPPと同じようにギブアンドテイクで、アメリカの自動車関税とセットでないと駄目なのに、自分たちがもらうところだけ貰って、やらなければいけない自動車関税という支払代償は一切手をつけずというのが、日米貿易協定の決着だ。

――日本からすると、一番嫌なのは最大の輸出品目である自動車に関税をかけられることだ。今回も追加関税という時に、アメリカは「脅しの材料」「武器」としてそんなことを言う。

明星大学経営学部教授 細川昌彦 氏:
「自動車関税25%の制裁」という日本が一番「ギャッ」と言いそうなところにかけてきた。欲しいのは、「農産物の関税」だった。今回も違うもので、どういう交渉をしてくるか。

――今回、アメリカが欲しいものは、何か。

明星大学経営学部教授 細川昌彦 氏:
何かわからない。わからないから日本から「こういうことをやれる」ということを先に出していくことも大事だ。