警察も捜査できず・・・どうすれば?

小川彩佳キャスター:
介護の現場は、人としての尊厳を持って人生を全うするための、最後の砦でもあると思いますが、そうした場所をこのような形で混乱させるのは大変許しがたい行為ですよね。

調査報道部 小松玲葉記者:
本当に悪質だと思います。今の介護事業者を取り巻く環境なんですが、ほとんど個人で経営しているような小規模な事業者が多いという特徴があります。また、そういった方々の高齢化も進んできました。物価高や人材不足という様々な問題にも直面しています。こうした背景から、M&Aによって経営を引き継ぎたいと考えている方が多い一方で、毎月安定した介護報酬が入ってくるという、悪質な買い手にとっては魅力的な条件が揃っているという側面もあります。

小川彩佳キャスター:
そうした施設が閉鎖に追い込まれてしまうと、利用者は次の受け入れ先を探さなければいけないですよね。

小松玲葉記者:
今回の三重県のケースでは、40人ほどいる利用者さんを2週間で移さなければならず、職員の方が一人ひとり電話をかけて受け入れ先を探したという、利用者の方と職員が一番の被害者だと感じています。

小川彩佳キャスター:
こうした被害が出ているにも関わらず、警察は捜査ができないそうですね。

堤伸輔氏
M&Aで事業を引き継いでもらう側にも当然リスクはありますが、一般の事業会社とは異なり、介護施設を運営しているので、少なくともそのM&Aを仲介した会社にも一定の責任があると思います。例えば、6か月間フォローアップして、ちゃんと介護施設が運営されているのかなどを見ていけば、同じ業者を何か所にも紹介するようなことは防ぐことができる。このようなことが連鎖的に起こらない方策をとってほしいと思います。

小松玲葉記者:
国も対策には乗り出していますが、まだまだ実態が明らかになっていないケースも多くあると見られていて、更なる対策が求められていると思います。

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<プロフィール>
堤 伸輔さん
国際情報誌「フォーサイト」元編集長
政治から社会問題まで幅広い報道に携わる

<TBSインサイダーズ>
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