介護現場で起きたM&Aをめぐるトラブルについてです。
介護サービスの経営者自身が高齢化する中、会社を買ってもらって、引き継いでもらおうというケースが増えています。
ところが、その陰で悪質な買い手による深刻なトラブルも発生しています。渦中の経営者を直撃しました。
株式譲渡からわずか3か月で…老人ホーム閉鎖
三重県の老人ホームで撮影された運動会の様子。職員たちが利用者に声をかけ、盛り上げます。

40人近い高齢者が入居していて、今年8月まで、笑顔の絶えない場所だったといいます。
しかし今、施設は閉鎖されてしまいました。

老人ホームの元職員
「もうこれはショックでしたね。ここが良かったと泣いている方がいっぱいいた」
一体何があったのか。きっかけは「M&A」でした。
今年5月、老人ホームを運営する会社のすべての株が、ある人物に売却されました。

その人物は、全国で複数の介護施設を運営しているというA氏でした。
老人ホームの元職員
「もっと大きな会社になって、職員の待遇も良くなるからいいことだと」
しかし、経営者が変わってすぐに異変が起きました。食事を提供する会社への支払いが止まり、従業員の給料も支払われなくなりました。
株式譲渡からわずか3か月で、利用者は全員退去を余儀なくされました。

老人ホームの元職員
「老後の生活を平和に平穏に暮らせるよう、手伝いたいと考えて介護業界に入ったので、利用者さんの平和な日常を奪っていったのが、僕自身一番許せないところ」
介護業界を中心にM&Aを繰り返していたA氏。トラブルは他の介護事業所でも起きていました。