A氏に直撃…語った主張は
水落さんは、A氏を刑事告訴できないかと警察に相談しました。しかし、警察の判断は「捜査はできない」というものでした。
水落さん
「『えなんで』という気持ちだった。これだけの被害が及んでいる」
警察からは「出資持分100%を持つと社長は何に使っても問題はない」と説明されたと言います。
中小企業のM&Aに詳しい弁護士は、株式や出資持分を経営者1人が全て持つ場合、罪に問うことは現実的に難しいと話します。

中小企業M&Aに詳しい 柴田堅太郎弁護士
「問題の根幹は、会社は基本的に株主のものなので、株主が自分で現預金抜いても、基本的にはもう俺の勝手だろっていうことなんですよ。会社をつぶすことそれ自体は別に犯罪じゃない。もちろん、それはみんなに迷惑をかけるのですが」
水落さんは今、A氏を信用してしまったことを後悔していると話します。
水落さん
「いろいろ調べる中で、国が推奨する中の一つである(センターの紹介だと)しっかりしている、間違いはないんじゃないかと思った。私も法的なことはよくわからないので、そういうところを狙っているのではないか」
A氏がM&Aを行っていたのは、介護事業を中心に、全国で10社近くにのぼります。その多くで同じようなトラブルが起きていました。
A氏に話を聞くため、記者が関係先を探していると、A氏が使っているという高級外車が…

記者
「Aさんですか?介護事業所のM&Aの件について…キャバクラで法人カードを使われたりとか?」
A氏
「あれは接待であったり、金額自体は自分の給料と相殺している」

記者
「お金を抜いて逃げる手法を取っているように見えるが?」
A氏
「それはもう全然、間違いだと思います」
記者
「返金されたりとかは?」
A氏
「じゃあ僕の給料はどこからあるの?と逆に聞きたい」
記者
「経営する気はある?」
A氏
「元々、もちろんもちろん」
使った金は、自分の給料や接待などの経費であり、経営状態も買った時より改善していたなどと主張したA氏。
三重県の老人ホームが3か月で閉鎖したことについても、「職員がいきなりやめると言ったから」だとしました。
再び、デイサービス施設の代表に戻った水落さん。現場に専念するためにM&Aを行ったはずが、膨らんだ借金を抱えたまま、経営を続けています。
水落さん
「(ボーナスは)無理しなくていいからねと、なんならいらないよと。そんな言葉をスタッフに言わせるのがとても悲しかったですね。それはもう怒りでしかない」
