「出頭を命じる」「この命令に背くことはできない」“死刑宣告”受けた弁護士一家
タリバンによる政権樹立から、3年あまり。アフガニスタンでは、女性の就労や女子教育など、女性の権利を制限する動きが強まっている。

女性活動家
「この政権にはウンザリだ!」
加えて深刻化しているのが、人権活動家や前政権の関係者に対する迫害だ。私たちは、タリバンから“死刑宣告”を受けたある家族が、国外脱出を図る映像を入手した。

支援者
「ここで待ってて、あなたはここに座って」
彼らに一体、何が起きたのか。
2023年8月。私たちは、アフガニスタンで暮らすある家族の元へと向かった。タリバンの尾行に細心の注意を払いながら、指定された場所へと車を走らせる。

記者
「もう間もなく現場の近くに着くので、注意しながら取材を進めたいと思います」
私たちを出迎えたのは、前政権下で17年間、弁護士として働いていたファティマさん(仮名)。タリバンから命を狙われ、夫と4人の子どもとともに2年近く、潜伏生活を送っているという。

ファティマさん(仮名)元弁護士
「私にかけられている罪は、夫からのDVなどに苦しむ女性の弁護をしてきたことです。100人以上の女性を弁護し、離婚を成立させてきたことで、タリバンから目の敵にされているのです」
家庭内の暴力が絶えないアフガニスタンで、多くの女性たちの弁護を務めてきたファティマさん。ある日届いたのは、タリバンからの召喚状だ。

タリバンから届いた文書(抜粋)
「2022年8月18日、午前9時に出頭を命じる」
「この命令に背くことはできない」
この出頭要請は、家族を含めた殺害予告を意味する。事実上の“死刑宣告”だった。
ファティマさん
「3週間後、タリバンが自宅に来ました。私は家にいなかったので、代わりに夫が手錠を掛けられ、連れ去られたのです」

直後にタリバンから送られてきたのは、目隠しをされた状態の夫の写真。夫はひと月近く拘束され、ファティマさんの居場所を明かすよう、拷問を受け続けたという。
その後、何とか釈放されたものの、隠れ家を転々とする生活を送っているファティマさん一家。最も気がかりなのは、4人の子どもたちの状況だと話す。

ファティマさん(音声)
「今日は2023年8月です。この部屋は子どもたちの遊び場であり、そして台所でもあります」
ファティマさんは自ら、潜伏生活の様子を撮影した。車一台分のスペースが子どもたちの唯一の遊び場で、家族が寝食を共にする場所でもあるという。

ファティマさん(音声)
「今日は、昼食に子どもたちが大好きなパスタを作りました。美味しい?」
「子どもたちは寂しすぎて、外出したいと言って泣くことがあります。でも残念ながらこの状況では、友達の家や、公園にも連れていく事は一切出来ません。刑務所にいるのと同じような環境です」
2年以上に及ぶ潜伏生活で、子どもたちを取り巻く環境は悪化の一途を辿っている。

8歳の長男、アブダルくん(仮名)。てんかんの持病があり、度々発作に襲われ、投薬治療が欠かせない。そのため、ファティマさん自身が身の危険を冒し、通院させているのだという。














