平沢氏の強さの秘密は徹底的な「どぶ板」と言って良い。

私が小学生の時のことだった。100歳を目前に大往生した曾祖父の通夜に突然、平沢氏がやってきたのだ。曾祖父は政治とは無関係だったので、親族一同驚いていたのを覚えている。

「ひーじーちゃんのために偉い人が来てくれたんだよ!ヒラサワ先生っていうんだよ」。幼心に強烈な印象が残ったことを覚えている。

また最近、私が所属していた地元小学校のサッカークラブが創立30周年を迎え、ささやかな祝賀会が開かれた。そこにも「ヒラサワ先生」がやってきたのだ。しかも、自民党区議・都議を引き連れての大所帯だった。クラブ関係者は「だれも平沢氏を呼んでいない」ということだったが、区の施設を使用した催しだったため、平沢氏に情報が入ったのだろう。「義理と人情」がどこよりも濃く残る下町では、こうした活動が絶大な効果を発揮しているのかもしれない。

そんな平沢氏でも、今回ばかりは裏金事件で窮地に追い込まれたように見えたが、陣営の関係者は「思ったより逆風を感じなかった」と話す。支持者からは「石破さんを応援したのに、気の毒」といった声を掛けられたという。