「これまでたくさん聞いてきた市民の声を、国会でしっかり届けるという仕事に全力を費やしていきたい」
花束を手にこう語ったのは、東京30区で当選した立憲民主党・五十嵐衣里氏(40)だ。約9万8000票を獲得し、2位の自民党・長島昭久氏(62)との差はわずか6000票あまりだった。
東京30区は、区割り改定で今回新たに新設された選挙区。府中市、多摩市、稲城市の3つの市から構成され、前職の長島氏に新人4人が挑む構図となっていた。
五十嵐氏と長島氏はあらゆる面で対照的だ。
中学時代にいじめが原因で不登校になった五十嵐氏は、飲食店やトラック運転手など様々な仕事をしながら高卒認定資格を取得。その後、夜間大学に通い30歳で司法試験に合格して弁護士となり、2021年からは都議会議員を務めた。
対する長島氏は2003年に初当選して以来、衆議院議員を7期務めた大ベテラン。民主党、希望の党などを経て2019年に自民党に移った。防衛副大臣の経験もあり、外交・安全保障のスペシャリストとして石破政権では首相補佐官に起用された。
五十嵐氏の出馬表明が公示直前だったこともあり、当初は長島氏が優勢と見られていた。こうした中で五十嵐氏はいかにして票を伸ばし、勝利したのか。