
そして、開票結果は…。
平沢氏が得票率34%と「薄氷の勝利」だった。2003年以降、常に50%を超えていた平沢氏の得票率が初めて50%を割ったのだ。投票が締め切られた午後8時に「当確」を打った社はゼロだった。
JNNの出口調査の結果を分析すると、平沢氏に投票した人の約67%が「自民党の裏金問題について考慮した」と回答した。多くの有権者が出陣式での平沢氏の言葉のごとく「それでもやっぱり平沢」と判断したのだろうか。
一方、世代別の投票先を見ると一定の傾向が見えた。
平沢氏は年代別に見て40代~80歳以上で最も高い得票率となったが、20代、30代は得票率が最も高かった候補の半分ほどしか獲得できなかった(※10代はサンプル数が少なく分析対象から除外)。
その結果、対抗馬の円より子氏(国民)と猪口幸子氏(維新)が平沢氏に迫る勢いで票を獲得し、比例復活。小選挙区制に移行後、初めて葛飾(東京17区)から3人の衆議院議員が当選し、未曾有の「代議士3人時代」を迎えることになった。
気になる数字もある。
葛飾区選挙管理委員会によると、今回、無効票となったのは1万4631票で全体の7.31%にも上った。そのうち9623票が白票だったという。無効票の割合と白票の数は、選管がさかのぼることが出来る2017年以降、3回の衆院選で最多だった。
“最多”の白票と「3人当選」という過去に例を見ない選挙結果となった葛飾。
今回の結果は“葛飾の政変”と言えるのか。そして若い世代の「平沢氏離れ」は、これからの葛飾の政治環境にどう影響を与えるのか。今後も地元葛飾をウォッチしていきたい。
岸将之(TBSテレビ 調査報道部特別報道班)
東京・葛飾区出身。これまで所属した社会部では東京地検特捜部や裁判所などの取材を担当。その後、「報道特集」に所属し東京五輪での「弁当13万食廃棄問題」や、侵攻が始まった翌日からウクライナ・ベラルーシの両国で取材をした。 2024年7月から所属する特別報道班ではM&Aで中小企業が悪意ある買い手企業の被害に遭っている実態などを取材。