神奈川1区 勢力図が変わる

神奈川1区は、県庁など行政機関が集まる横浜市中心部の「中区」、工業地帯とベットタウンが広がる「磯子区」、歴史ある景勝地や海岸エリアを擁する「金沢区」の3つの区で構成されていて、約42万5千人を超える有権者を抱える小選挙区。ここは松本氏が長年、強固な地盤を築きあげてきた。しかし今回の選挙で、その地盤が揺らいだことは明白だと感じた。

JNNが行った事前の情勢調査では、公示日前は松本氏がリードするも、選挙終盤になると篠原氏が逆転。自民党の旧統一教会・裏金問題と続き、選挙期間中に報じられた“非公認候補への2000万円支給”問題が追い打ちをかけたとみられる。自民党に対する有権者の目は厳しい。

「最初から厳しいと分かっていたが、ここまでとは」松本陣営の1人からは、思わずため息もこぼれた。電話口での支持者の反応は予想以上の厳しさを物語ったという。取材でも、自民党支持の有権者から「投票先に迷っている、白票にするか迷っている」という話をよく聞いた。松本氏は、支持層を固めきることができなかったのではないかと推察する。

JNNの行った当日の出口調査では、立憲支持層の9割が篠原氏に投じたのに対し、自公支持層で松本氏に投じたのは7割にとどまった。さらに、無党派層については、5割が立憲民主党に、わずか1割弱が自民党に投じる結果となった。

投開票日の当日、深夜に篠原氏に当選確実が出る。74歳の松本氏は「73歳定年制」という党の規定により、比例復活はない。2度目の落選となった。今後の進退について、松本氏は次のようにブログに書き留めた。

「これまでの経験と人脈を活かし、地元、企業、団体の皆様に寄り添い、お役に立てるよう微力を捧げて参ります」

一方、当選を果たした篠原氏。陣営は今回の結果について、自民党に対する国民の不信の表れだとし、自民への逆風の強さを認めながらも、これまでの地元での活動、交流を通して1区で篠原氏の存在が浸透してきたことを実感するという。
ただ、陣営の一人はこうも語る。「自民党が次の新しい候補を立てた時が本当の勝負だ」