聴衆の反応を見ることも…情勢取材の基本
当確を出すための取材でまず行うのは、各選挙区の過去のデータの分析です。
これまでにどんな候補が当選してきたのか、投票率はどれぐらいか、地域によって政党支持率の特徴はあるのか…。こうした基礎情報をふまえて、各候補の選挙事務所や政党などを取材し、投票率の見通しや重点地区などを聞いて回ります。
さらに、候補者の演説を聞きに行って話の上手さを確かめたり、スタッフの士気を見てみたりと、現場の「熱気」を量ります。こうした取材を積み重ね、選挙区の情勢がどうなっているのか「輪郭」をつかんでいきます。
それらの手法に加えて欠かせないのは、統計的手法に基づいた有権者への情勢調査です。
「選挙区では誰に投票するか」「比例ではどの政党を支持するか」などといった質問に回答をもらい、得られたデータを取材の情報と照らし合わせて、選挙の実態を浮き彫りにしていきます。かつては固定電話に電話をかけて調査するのが主流でしたが、自宅に固定電話を置かない家庭が増えたことで、携帯電話への調査やインターネット調査を併用するメディアが増えつつあります。
ただ、こうした取材だけで選挙情勢を把握するのには限界があります。なぜなら、特に支持する政党がない「無党派層」の有権者の割合が多いからです。業界団体や労働組合の活動が活発だった頃に比べて、「絶対に〇〇党・〇〇候補に入れる」という人は減少していて、事前の情勢取材だけで正確な状況を把握することは難しくなっています。

















