大阪地裁「常識的に考えて被告人以外の犯人を想定することができない」

そして迎えた、9月27日の判決。

裁判官3人と裁判員は、山本被告が「有罪」であるという結論を下した。

「検察官の主張する各間接事実を検討した結果、その相当部分(多くの部分)は、弁護人の主張する通り、検察官の立証に問題があり、被告人が犯人であることを裏づける事実関係として採用できないが、一部の間接事実は疑いをいれずに認定でき、その間接事実を総合して推認することにより、常識的に考えて被告人以外の犯人を想定することができず、被告人が本件の犯人だと認めることに、合理的な疑いをいれる余地はないと判断した」

山田裕文裁判長は言い渡しの序盤で、有罪と判断した根拠の骨子をこのように説明した。

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裁判官と裁判員は、検察側が立証の柱にしていたドラレコ映像に映る犯人と被告との「身体的特徴の合致」や「着衣の類似性」について、“それらをもって犯人性を基礎づけようとする検察官の主張は無理がある”と判断した。

加えて、殺害された平山さんが、被告以外の人物(たとえば勤務先の関係者)とトラブルを抱えていなかったかという点について、「捜査が不徹底だったとする弁護人の指摘は、理にかなったものが相応に含まれる」と言及。「他にトラブルがなかったとは言い切れない」とした。

さらに「弁護人が強調する通り、現場住宅街には、防犯カメラやドライブレコーダーに映ることなく犯行現場にたどり着ける可能性がある経路が、複数存在した疑いがある」と認め、「犯人は住宅街の住民だとする検察官の主張は、基本的な部分で大きく破綻している」とまで言い切った。