「私たちは、同じ人間ですよ」

チャマのような田舎で、片腕で暮らすのは特に困難だ。農作業、炊事、洗濯、入浴、そして育児、すべてに支障が出ている。

ミリアム
「腕が二本あった頃は何でもできました。今は、全てが難しくなってしまいました」

母親ら、一緒に暮らす家族の負担も増えた。その上、再び襲撃される可能性もリアルにある。

ミリアム
「前回は放置されたのが家のそばだったので生き延びましたけど、次はどこか離れたところに連れていかれて、切り刻まれるかもしれません。そうなったら、死んでしまいます」

生まれ育った場所。でも、地域の人たちを「怖い」と感じるようになってしまった。できれば移住したい。それもこれも全て、迷信のせいなのだ。

生まれつきメラニン色素がない、というだけで、腕を切断され、不自由な生活を強いられた上、怯えて暮らさなければならない。

あまりに理不尽だ。ミリアムに、あえて聞いてみた。

アルビノに生まれたことをどう思っていますか?

ミリアム
「神の思し召しです。私がアルビノとして生まれたこと、黒い肌に生まれなかったことは」

母親のビューティーも「子供は神様からの授かりものですから」と言い、「誰にだってアルビノの子が産まれる可能性があるんですよ」と付け加えた。

犯人や、“アルビノの体に神秘的な力がある”と考えている人に、何を言いたいですか?そう問うと、ミリアムは短く答えた。

「私たちは、同じ人間ですよ。なぜ、こんなことをするんですか」

シンプルだけど、それが全てだ。ミリアムにとっては自分が一人の人間であることは自明のことだ。

犯人たちが切り取っていった右腕だって、犯人たちの腕と何も変わらない。普通の人間の腕、でも同時に、ミリアムにとって、かけがえのない腕だったのだ。