なぜ台風は急速に衰えた?あまりに遅すぎるスピードが関係か

熱帯低気圧のうち中心付近の最大風速が17.2メートルを超えると台風となります。そのエネルギー源は「潜熱」で、海からの水蒸気などをエネルギーとして発達します。そのため陸地に上陸するとエネルギー源が絶たれるために台風は弱まっていきます。

台風はきのう午前8時ごろに鹿児島県に上陸後、沿岸部を北上し、その後、九州を横断して瀬戸内海へ抜けました。九州方面から広島など中国地方に来る台風は、一般的に秋の時期では、日本の上空に吹いている偏西風に乗って加速しながら通過します。勢力が弱まりながら接近するものの、極端に衰える前に中国地方に達するため、それなりに強い勢力のまま、接近して大荒れの天気となることがあります。

一方で、今回の台風はあまり進むスピードが遅く、ジョギングとか自転車並みとか例えられるほどのノロノロした速度で、また九州山地などで台風の構造も崩れるなどして、急速に衰えたとみられます。

台風が進むコースは周辺の上空の風に大きく関係します。今回は大きく流すような風が吹いていなかったため、ノロノロした速度で進んだものとみられる。夏の台風は秋に比べると迷走することが多く、今回も非常に詠みにくい台風だったといえます。

台風が離れた所で猛烈な雨 台風が弱くなっても油断できず

ただ九州南部では大雨や竜巻による突風被害が発生。また、台風から遠く離れた場所でも線状降水帯が近畿や東海、関東など猛烈な雨をもたらすなどしました。台風が遠い、勢力が弱まったからといって油断はできない例です。