「稲盛経営12か条」危機乗り越えた企業

奈良を拠点とする「盛和塾」には経営者や旅館の女将など約100人の塾生が参加しています。生徒たちは、師と仰ぐ京セラの創業者・稲盛和夫名誉会長の教えを実践することで、幾度も危機を乗り越えることができたと話します。

「僕の場合は、盛和塾に入っていなかったら会社つぶしているか人生終わっているかどれかしかない状態だった。」(大峰堂薬品工業 辻将央さん)

奈良県大和高田市で漢方薬の製造販売を営む辻将央さん(50)。家業を継いだ直後に大口の取引先が倒産するなど一時、会社はどん底に陥りました。

「『なんでやねん』と思っていました。『なんで俺ばっかりこんなこと起こるねん』と最初は思っていました。(稲盛さんから)『目の前に起こっていることは、全て自分の心の投影です』と、『嫌なことが起きた時は自分自身の問題だ』と教えてくれた。」(辻将央さん)

稲盛さんの言葉で目が覚めたという辻さんは、フィロソフィの中にある「稲盛経営12か条」を愚直に実践することにしました。

~稲盛経営12か条~実践1「売上を最大限に、経費を最小限に」

辻さんは漢方薬の原材料を生産する農家を再度検証し、安全性とコストを根本から見直す一方、自ら率先して新たな販路を切り開くことで、売上拡大に成功しました。

~稲盛経営12か条~実践2「常に創造的な仕事をする」

また、それまで続いていた慣れ合い的な下請けを断ち切り、会社の強みであるコーティング技術を強化。漢方特有の匂いを封じ込めて飲みやすくした結果、高価格帯のヒット商品を生み出すことができました。

~稲盛経営12か条~実践3「強烈な願望を心に抱く」

今年6月には、8年前から進めていたプロジェクトが一歩前進しました。漢方薬市場の拡大が見込まれるEUへの進出の足掛かりとして、ドイツでの販売許可を得ることができたのです。

「夢が大きすぎて最初、正直できるのかなって。時間はかかりましたがここまで来ましたので。」(大峰堂薬品工業の社員)