「両親の夢を叶えたい」 日本への永住帰国の決断

妹のレイ子さんと降籏さん 成田空港

成田空港で降籏さんを待ち構えていたのは、サハリンから永住帰国している兄妹。兄の信捷さんと妹のレイ子さんは到着した降籏さんを抱きしめた。3人とも涙を浮かべていた。

当初、ウクライナに戻る予定だった降籏さんだが、貧しい子ども時代を支え合った兄妹に永住帰国を強く勧められると心が揺れた。彼らと過ごすうちに「両親が帰国できなかった無念を晴らしたい」という思いが日増しに強くなっていく。そして、降籏さんは永住帰国を決断した。

「私が日本に永住帰国すれば、子どもたちはみんな日本へ戻ったことになります。両親が果たせなかった夢を叶えることができるのです」

降籏さんは北海道旭川市にあるレイ子さんの家の近くの公営住宅で一人暮らしをしていて、2022年11月に日本国籍を取得した。一方、ともに避難した孫の妻インナさんは妊娠が判明し、出産のため娘のソフィアちゃんを連れてウクライナに帰国。また、大学生の孫娘のウラジスラワさんも、復学するためにウクライナに戻る選択をした。