政権発足時からの「憲法改正」への思い

ただ、今回の岸田総理の発言は突然の思い付きで言ったものではない。

2021年10月、岸田政権が誕生すると、岸田総理は政権での実現目標のひとつに憲法改正を据えた。

●岸田総理(2022年1月 周囲に対し)
「憲法改正はやったほうがいいだろ。9条だって変えないと自衛隊の人たちがかわいそうだ」

安倍政権でもできなかった憲法改正だが、“リベラルな宏池会(岸田派)政権のほうが逆に実現しやすいのではないか”、かねてから自民党内ではこんな見方が出ていた。

総理周辺も「政権のレガシー(遺産)として総理は憲法改正を考えている」と証言していた。
この頃は政権支持率も高く、2022年の参院選で与党や日本維新の会などを加えた“改憲勢力”が3分の2以上の議席を獲得したこともあり、憲法改正が現実味を帯びてきていた。

しかし、政権はその後、旧統一教会の問題、そして派閥の裏金事件の発覚などで急激に求心力を失っていく。国会での憲法改正の議論も停滞していた。