離島の暮らし支えるドローン 1300㎞離れた東京で操縦

約1300km離れた東京でどのように操縦を行うのだろうか。東京・品川にある日本航空本社。世界中を飛行する航空機の運行管理を行うオペレーション本部。その一角に奄美アイランドドローンの基地局がある。

奄美アイランドドローン 伊藤栞太さん(日本航空):
フライトコントロールチェックコンプリート。今、離陸して2~3km地点を飛行中です。

奄美大島から約1300km離れたこの基地局でドローンを操縦している。現地では目視による飛行が困難なためこの基地局でGPSによる位置の把握と、機体カメラによる周囲の監視を行いながら飛行している。実証実験では、風速10m、小雨程度の環境下では問題なく飛行できたという。

そして、ドローンは奄美大島本島から約20㎞離れた与路島に30分で到着。

奄美アイランドドローン 伊藤栞太さん(日本航空):
切り離しチェック。では切り離します。3、2、1…。

東京から遠隔で荷物を切り離し、ドローンは再び本島に戻っていく。荷物を受け取った与路集落の信島豊武区長は「今日は学校給食の食材と、集落の新聞が運ばれてきました」といって、島民に新聞を渡す。与路島は人口を70人ほどの島。新聞の配達も島民が行う。

小学校と中学校が一緒になった島唯一の学校「瀬戸内町立与路小中学校」。こちらに給食食材を届ける信島区長。これまで、船の欠航によって、給食の食材が届かない場合、学校でストックしていた食材で何とかしのいでいたが、ドローンによる輸送が始まってからはその心配がなくなった。

「美味しい給食いただきます」の声とともに一斉に食べ始める生徒たち。「毎回、毎回給食が美味しい」「ご飯よりパンが好きだからパンの日が楽しみ」などという。離島に暮らす人々は、この大型ドローンの輸送に大きな期待を寄せている。

島の教員は「アイスを食べたいと思ったときに去年まで、島に(売っている)店があったので食べることができたが、今年から(店で)アイスが販売されないということで、悲しい気持ちになっていた。アイスがもし届いたら…と思っている」。生徒は、「新しい本ですね。最近の本を読めたらなと思う」という。ほかの与路島民は「医薬品関係は特になかなか入手ができないのと常備できないので、何かあったときにすぐ運んでもらえるようなことがあれば助かるかな」と語る。しかし、このドローン事業に期待されているのは、日々の生活物資の輸送だけではない。