突然知らされた弟の死 暖房もエアコンも無かった部屋
日本では体力が低下し、健康状態が悪化した高齢者の問題として捉えられてきたが、近年は若者や働きざかりの人がセルフネグレクトに陥るケースも増えている。

NPO法人「エンリッチ」の紺野功さんは、弟がセルフネグレクトに陥った末、孤独死したのをきっかけに5年前から孤独死を防ぐ活動を始めた。
弟の由夫さん(当時51歳)は、同じ東京で一人暮らしをしていたが、9年前の2月中旬、突然警察から「自宅で亡くなっている」と連絡があった。驚いたのは、弟の死因だった。

紺野功さん
「警察から“直接的な死因は低体温症である”と言われました。2月の中旬で、都会でもそういうことがあるんだなと驚きました」
荷物の整理のため弟の自宅を訪れると、部屋は趣味や仕事の関係する雑誌やパソコン機器などに埋め尽くされ、ベッドに寝た形跡はなかった。

正月に実家で集まったときは元気だったため、普段の生活ぶりを知らず、セルフネグレクトに陥っていたことにも気づかなかった。
紺野功さん
「風呂付のマンションではあるんですけれども、浴槽に水をためた形跡が無い、風呂に入った形跡が無い、別に生活に困っていたわけでははないのですが暖房設備もエアコンもない」
発見が早ければ命は助かったのではないか?
アプリの開発をしていた経験をいかして紺野さんが作ったのが、LINEによる安否確認システムだった。

利用者は自由な時間・頻度を設定して、LINEの通知を受け取る。通知を受けとると「元気でいる」証としてOKを押すだけ。
個人でも、集合住宅や団地の住人としてグループでも、サービスに加入できる。
5年間で登録者は14000人を超えた。利用者の年齢層は、60代以上が32%を占める一方で10代~30代が20%、40代が20%、50代も27%いるという。