「『忘れられた町』になっていく…」公費解体が進まない町。自費解体という選択

最大震度7を記録した石川県志賀町。

全壊した住居は、珠洲市の三分の一以下、輪島市の七分の一以下だ。しかし、上空から見ると、屋根をブルーシートで覆っている家が数多く見られる。そのうちの一軒、富来地区の住民に、中を案内してもらった。

志賀町 富来地区 徳山 外喜男さん(74)
「シートがなかったら空です。雨がぽたぽた落ちてきて、そしてこうして流れてくる」

徳山さんの妻・すえ子さん(74)
「雨模様になったらもう本当に心配」

夫婦は雨漏りに耐えながら暮らし、仮設住宅への入居が認められるのを待っている状態だ。

徳山さんの妻・すえ子さん(74)
「半年経って、目先が見えんというか。そこまで後々のことまで考えられない。今をどうしようかと」

住宅の倒壊件数が少ないことが、かえって支援が届かない原因になっていると話す住民がいる。

志賀町 富来地区 冨山 陽一さん(47)
「ボランティアの数も減って報道にも取り上げられず、『忘れられた町』になっていくなぁという思いがしますね」

冨山さんの自宅も倒壊していないが、トイレや風呂のタイルが剥がれ落ち、床に散乱していた。壁は剥がれて、天井からの雨漏りが絶えない。柱が折れ、倒壊の危険もあるため、解体を決めたのだが…

志賀町 富来地区 冨山 陽一さん(47)
「公費解体のつもりでいたんですけど、いつになるか分からないということで。壊さないことには次を建てることが出来ないので自費解体にしました」

自費解体とは、住民が業者に解体料金を支払い、その負担分を自治体から受け取る仕組みだ。冨山さんが自費解体を選んだのは、志賀町では公費解体がわずか24棟(※6月30日現在、緊急解体を含む)と、県内でも進んでいないからだ。