「あんたがいたから本当に力になった」
住民の要望に応え、自費解体を請け負っているのが地元の建築会社だ。
川村建築 川村 英外さん
「小さい町なんで、大きい輪島・珠洲の方に、(支援が)みんな流れていく、そんな感じですかね、今は」

震災直後に、埼玉県からボランティアで町に入った佐々木夏美さん(26)。
佐々木 夏美さん(26)
「元々は全国から応援の職員が県外からいっぱい来ていたけど、その職員さんもどんどん削られていって、ボランティアセンターを開け続けることができない状況」
佐々木さんは、支援の手が薄い志賀町の現状を知り、建築会社の仕事を手伝っている。この日、解体を行うためにやってきたのは、山の斜面に建つ車庫。その上には、古い母屋がある。土砂崩れが起きると、古い母屋と車庫が、自宅になだれ込んでくるのでは…と持ち主の山さんは心配していた。

車庫を自費解体する山 峰繕さん(55)
「地盤がかなり緩くなっているので、今もそこは液状化で、歩くと沈むぐらいな感じになっているので。余震が何回かあるうちにだんだんと傾きがひどくなってきているので、本当に怖いです。梅雨までに何とかこれを潰してほしいなというのはありますね、希望は」
そこで翌日、佐々木さんは、屋根の瓦を1枚1枚、手作業で取り除く。そして、重機を使った解体作業が始まった。

車庫ほどの大きさの建物であれば、1日で解体は完了するという。解体を見守っていた母親の芳子さん(83)は…
母・山 芳子さん(83)
「ご苦労様!ありがとう!涙が出るたび乾いてしまったわ!涙いっぱい出たんだけど、そこにおって見とったんや、2階で。涙が引っ込んでしまって、カリカリになった。乾いてしまって」
母・山 芳子さん(83)
「あんた(佐々木さん)がいたから本当に力になった」
佐々木 夏美さん(26)
「そんなことないよ」
母・山 芳子さん
「うまいこと壊した。ありがたかった」