“にぎやかな家庭を” 夫婦の夢を奪った強制不妊手術

宝二さんと喜美子さんは同じ年に神戸地裁に提訴(1審は敗訴 2審で逆転勝訴)。そして、喜美子さん亡き今、宝二さんはひとりで、最高裁判決を迎えることになったのです。

(小林宝二さん)
「私たちは騙されていたんだ、もう取り返しのつかないことをされてしまった」
「聞こえても聞こえなくても構わないと思うんです。子どもを育てることはできると思います」

戦後の人口急増などを背景に1948年に成立した旧優生保護法には、「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」とあります。

差別的な理念を掲げたこの法律が、母体保護法に改正される1996年までに、少なくとも約2万5千件の不妊手術、すなわち「優生手術」が行われ、うち1万6千件あまりは本人の同意がない「強制」でした。