■おばあさんZの悲しみ プロパガンダの被害者に

アンナ・イワノフナさん、70歳。
夫と二人、慎ましく暮らしていました。
自宅はロシア軍の攻撃で大きな被害を…。
アンナ・イワノフナさん(70)
「2月に爆発があって窓が割れてしまったので、いまだに窓ガラスなしで暮らしています」
家には、ウクライナの国旗が掲げられています。「決してロシア支持ではない」と言います。
ではなぜ、アンナさんはあの時、「プーチンのために祈っていた」と言い、ソ連の旗を掲げたのでしょう。
実はアンナさん、当時、訪ねてきたウクライナ兵をロシア兵だと勘違いしていたと言うのです。

アンナ・イワノフナさん(70)
「彼らと話をして、プーチンに連絡が取れると思いました。この戦争をやめるように、これ以上血が流れないように、プーチンと話ができると思って嬉しかった。私にとってあれは戦争の旗ではなく、『平和の国旗』なのです」
プーチン大統領に、反戦を訴えたかっただけだといいます。
ロシアとウクライナが、ソ連という同じ1つの国だったとき、ドイツとの戦争を終わらせた・・・。この旗は、アンナさんにとって平和の象徴なのです。
取材中、食料配給に向かうアンナさんについていくことになりました。
15分の道のりですが、その間も、近所の人からは厳しい視線が…

近所の人
「彼女はプーチンのところに行けばいい」
「好きなところへ行けばいい」
「ロシアに利用されたのかもしれないけど、あの動画が公開されてから、彼女は近所からのけ者になりました。今の被害状況や攻撃を考えると、嫌われても仕方ありません」