「おばあさんZ」と呼ばれ、ウクライナ人でありながら、ロシアから称賛されている一人の女性。戦争に人生を翻弄された、悲しき“おばあさんZ”の正体に迫ります。
(22年8月14日放送 「NO WAR プロジェクト つなぐ、つながるSP 戦争と嘘=フェイク」より)
■なぜロシアの英雄に? ウクライナ人「おばあさんZ」とは
ロシア・モスクワ市内。ビルに赤い旗を掲げるおばあさんの壁画が描かれています。等身大くらいのパネルが玄関に・・・
SNSには、ウクライナ侵攻への支持を表す炎の「Z」を背景にしたイラストや、ウクライナ国旗を踏みつける絵が投稿され、ロシアが掌握したマリウポリには、おばあさんの像まで。
彼女は実在するウクライナ人です。「おばあさんZ」と呼ばれています。
ウクライナにも、ロシアを熱烈に応援する人がいるとして、ロシア人の間で支持が広がっているのです。
「おばあさんZ」が注目されたキッカケは、この動画。
ウクライナ・ハルキウ近郊の村で今年春に撮られ、SNSに投稿されました。
撮影者はウクライナ兵。そこにおばあさんが赤い旗を持って近づいてきます。旗は、ソ連の国旗です。

おばあさんZ
「待っていました。あなた達やプーチン、すべての人々のために祈っていました」
ウクライナ人でありながら「プーチンのために祈っていた」と言います 。
ウクライナ兵は食料を渡しつつ、ロシアの前身・ソ連の国旗を取り上げ…

ウクライナ兵
「ウクライナに栄光あれ!」
旗を踏みつけました。
これにおばあさんは怒り、食料を突き返します。
おばあさんZ
「私の両親はその旗のために戦って死んだ。あなたはそれを踏みつけている」
「旗を返して」
ウクライナ人のおばあさんが、プーチン大統領やロシアを支持し、ウクライナ兵と闘っている…
おばあさんはロシアで、一躍英雄となったのです。
モスクワ市民
「英雄の行動だと思います」
「テレビでこのおばあさんを見ました。涙無しに見ることはできませんでした。」
ウクライナ人なのに、「おばあさんZ」はなぜ、ロシアを支持するような行動をしたのか、私たちは真意を確かめるため、「おばあさんZ」の住む村へと向かいました。
このところ再び攻撃が激化している、ハルキウ周辺。家々の窓ガラスは割れ、壁には無数の銃弾の跡が見られます。
いまもたびたび攻撃にさらされる村の一角で、私たちは「おばあさんZ」の自宅を見つけ、ついに会うことができました。