なかなか取り上げにくい「トイレの話題」“備える意識”にも影響が

廣瀬さん
 トイレは私達の生活には必要不可欠だけど、対策の優先順位って私達が考える中で、その順位がそんなに高くないと思う。何で優先順位がなかなか上がっていかないんでしょうか?
NPO法人日本トイレ研究所 加藤篤代表
 様々な理由があるが、そのうちの一つとして、食べることはよく日常的に話題にする。今晩は何を食べますか、とか。もしくは食べる姿を共有するので一緒に食べるのですごく話題にしやすいことだと思う。
 でも一方で、排泄っていうのは人に見せるものではないのでどちらかというとタブーでデリケートなテーマなので話題にしないと思う。話題にしないということはいざというときも思いつかない。これを備えなきゃっというように意識しづらいので、結果として抜け落ちてしまっているというのが現状。
石橋アナ
 家族の中でもトイレの話はするけども優先順位は決して高くない。さらに他人の中ではほぼ話すことは、特に災害時などトイレに関してはないかもしれませんね、確かに。
加藤代表
 もっともっと声に出して話すことが大事で、備えを一緒に考えるとか、地元の市町村にリクエストするとか、そういう形で声に出していくってことが大事です。

災害時のトイレへの備え“8つのポイント” 「携帯トイレ」は必須

廣瀬さん
 今、話を聞いていると本当に災害時のトイレについて考えないといけないと感じたが、日頃からの備えとして今、手元に日本トイレ研究所さんが作った備えのチェックリストがあるが、8項目あります。

災害時の備えチェックリスト(日本トイレ研究所まとめ)

①携帯トイレ ②ポリ袋 ③トイレットペーパー ④ウェットティッシュ ⑤手指の消毒液 ⑥照明 ⑦使用済み携帯トイレ保存容器 ⑧その他の備え

加藤代表
 「携帯トイレ」について初めて聞かれる方も多いと思うが、建物の中にある普通の便器に取り付けて使う袋式のトイレのことを携帯トイレと言っています。
廣瀬さん
 水栓が壊れていても、これが使えるっていうことですね。
加藤代表
 外のトイレに行かなくて済む。例えば大雨が降っていたりとか、夜中だと暗かったりするので、女性や子どもが怖かったりすると思います。またエレベーターも止まっているので階段で行かなきゃいけないような時に、自宅のトイレに取り付けて使えるのが携帯トイレです。
石橋アナ
 これは家族の人数によってその必要な枚数であるとかも考えたらいいんですかね。
加藤代表
 計算方法としては1人分で、概ね1日にトイレに行く回数を数えてほしいが、国のガイドラインでは目安は5回。1日5回。あとは何日間に貯めるかってことですが、最低3日分、できれば7日分。ですから5をかけて15回~35回分くらいをイメージしてもらえれば。
石橋アナ
 トイレの備えの一つとして「携帯トイレ」を常備するのが大事だということですね。
加藤代表
マストアイテムです。
廣瀬さん
 例えば家族4人だと、100を超えるような枚数を用意しておいた方がいいということになりますね。
加藤代表
 そうです。そんなにたくさんって思う方もいると思うけど、本当にトイレがないと困る。ですから、少し余分に、困ってる人にあげられるぐらいにしておく方が良いと思います。何日分必要かの目安がなかなか実際わからない。でも最低3日はぜひお願いしたい。

携帯トイレ

廣瀬さん
 続いてポリ袋いかがでしょうか?
加藤代表
 便器は通常水が溜まっている。あの水は下水道の臭いや虫が逆流してこないよう、水で蓋をしている。ですからあの水はそのままにしておかないといけない。そこにいきなり携帯トイレを取り付けてしまうと、交換するときに水がポタポタ垂れてしまう。それを防ぐために45Lぐらいのポリ袋であれば、便器にすっぽりかぶせることができる。まず、ポリ袋で便器を覆ってから便座を下ろして、その上に携帯トイレをつけるのをおすすめしています。
廣瀬さん
 なるほど、これは気がつきませんでした。
加藤代表
 最低1枚、破れたり汚れたりする可能性があるので複数枚あった方が良いです。

廣瀬さん
 続いてトイレットペーパーですがこれはいくつぐらい用意したらいいでしょうか?
加藤代表
 これも難しいんですが、ぜひ一度自分が必要な量を手に取ってみて、伸ばして測ってみてほしい。そうすると、先ほどの5回トイレに行くのであれば、その長さ×5、さらに1ヶ月ぐらいあった方がいいと思うので×30日。すると大体自分の安心して使うために必要な量が出てくる。家庭ごとに使う量ってのは様々ですから、

廣瀬さん
 続いてウェットティッシュですがこれはどういった用途に使うんですか。
加藤代表
 ウェットティッシュとその次の手指の消毒液、これはセットですが断水しているのでトイレの後に手が洗えない。そんなときにウェットティッシュ、もしくはアルコール消毒液、最近で言うとノロウイルスにも対応してアルコール消毒液もあるので、そういったものも工夫しながら備えてほしいと思います。
廣瀬さん
 これはトイレ以外の場面でも使えますもんね。