盲導犬を迎え入れるきっかけ「一人でコンビニに行ってみたい」

小暮さんは外に出かけるとき、盲導犬のシンボル「ハーネス」をコニーに装着します。盲導犬の仕事は障害物を避けるなど、移動をサポートすることです。
横断歩道の手前でコニーが立ち止まりました。歩道と車道の段差の前で止まるよう訓練されています。

小暮さん「(信号を渡るときの判断は?)信号は残念ながらコニーは色が見えないので、私が耳で車の音だったり自転車のブレーキだったりいろんなものを聞いて、私が判断して指示を出しています」

小暮さんは「網膜色素変性症」という、進行性の目の病気の影響で、小学5年生ごろから徐々に目が見えなくなったといいます。
小暮さん「本当にひとつずつ薄皮を剥がれるような、少しずつ少しずつ、この間まで見えていたものが、もうこんなに見えなくなってきたとか。すごく孤独で苦しい時間でしたね」

そんな中、出会ったのが夫の賢也さんです。25歳で結婚、27歳のとき長女の真子さんを授かりました。

小暮さん「今までひとりで抱えてきたものを、パパが半分背負ってくれたような感じだった。自分がすごく幸せだったから、子供を産んでも『きっと幸せになるだろう』という、漠然とした自信があった。
(長女が生まれたときは?)見えてないんですね。ちょっとでも見えればと思ったんだけど、かすんでいて見えなくて。見たことがないって言えば見えたことがないんだけど。
私の中には長女と長男の顔があって『今日元気ないな』『顔色悪いな』というのは、母親だから読み取ってるんだけど、それは心で見てる。”見てる”かもしれない」

2人は大学生・高校生になりました。盲導犬を迎え入れようと思ったのは子どもたちが小学生のころです。
小暮さん「一応訓練受けて白杖で歩いていたんですけど、あんまりうまくいかなかった」
移動中に怪我をしたこともあり、ひとりで行動できる範囲は限られていたといいます。
小暮さん「例えば『ちょっと醤油切らしたからスーパーに行きたい』とか、『天気がいいからコンビニ行って、飲み物買って飲みたい』とか、ふと思ってどこかに行くということがしたかった」