地区の高台にある小木中学校が津波防災の教育を行うようになったきっかけは、東日本大震災があった2011年から3年間校長を務め、現在は輪島市の教育長を務める小川正さんの存在です。

小川正さん(2012年)「日中、いざ何かあった時にこの地区もそうだが高校生はこの地区にはいない。それからほとんどの方が小木地区以外の地区で職業に就いている。そうすると今、この時間に何かあった時に一番動ける立場というのは中学生」
輪島市門前町に自宅があり、2007年の能登半島地震を経験した小川さんは、小木中学校に赴任する直前に発生した東日本大震災の被害を見て、海沿いの地区で津波防災の教育に取り組む必要性を感じたと振り返ります。
小川正さん「小木に最初に赴任して、東日本大震災のあの地形と全く似たような光景。もうひとつは赴任する前にすでに中学生が東日本の皆さんに対して募金活動を本当に一生懸命やっていたという話を聞いて、これはやはり東日本大震災、そして東北の人たちのことを念頭に置きながら教育活動を展開しなければだめだろうなと」
小川さんは、津波ハザードマップや避難経路をまとめたDVDをはじめ、津波を題材としたかるたや防災寸劇を作りました。さらに避難所の体験会や津波避難訓練など、地域の住民を巻き込んださまざまな取り組みを進めました。