「臨時情報が出るまで南海トラフ地震は起きない…は誤解」

 南海トラフ地震に関する評価検討会の会長を務める東京大学の平田直名誉教授は、認知度だけでなく正しく理解もされていないと指摘する。

 (東京大学 平田直名誉教授)「臨時情報が出るまでは南海トラフ巨大地震は起きないんじゃないか、という期待を込めているかもしれませんが、それは誤解です。現在の地震学の実力では、地震が起きる前にいつ地震が起きるかを予測することはできません」
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 実は、臨時情報が発表されたとしても、巨大地震が発生する確率はそう高くはない。過去の巨大地震の事例からすると、1週間以内に発生する頻度は、『巨大地震注意』で数百回に1回、『巨大地震警戒』でも十数回に1回とされる。では臨時情報は何のためにあるのか?

 (東京大学 平田直名誉教授)「災害弱者と言われるような、典型的には高齢の方や要支援者、走って逃げることができないような方が、事前に少しでも安全なところに避難するためです。10回に1回の発生頻度でも、ただちに逃げておかないと命が失われるので、この情報は意味がある」