被災地の姿を伝える旅館の女将

こうした中、被災地のありのままの姿を伝え続けている人がいます。南相馬市小高区の小林友子さんです。小林さんが営む双葉屋旅館は、福島第一原発からおよそ20キロの場所にあり、一時、避難指示が出されました。

双葉屋旅館・2015年

それでも、小林さんは2016年に旅館を再開させ、故郷に明かりを灯し続けています。近頃はホープツーリズムの参加者も多く宿泊するといい、小林さんは、訪れた人たちに震災と原発事故のことを伝え続けています。

双葉屋旅館・小林友子さん「私たちだって責任がある、ここの状況は。だから必死になって伝えようとしている」

小林友子さん

この日、宿泊したのは東北大学の学生たち。このグループは、小高でフィールドワークを行いながら被災地の復興について学び、来年3月に研究の成果を学生目線の政策として南相馬市に提言する予定です。

夕食に小林さんが振る舞ったのは、旬の魚やタケノコを使った料理。小高を少しでも身近に感じてもらおうと、地元で採れた食材を料理に取り入れているといいます。

小林さん「(原発事故直後は)食べられなかった。測ってみると生で20(ベクレル/キロ)くらい。除染なんてし切れるものじゃない。キノコも食べたいなと思いながら…」